気づいたら何時間も寝ていた。
「不眠症」では?「過眠症」?
いつもと違う自分に戸惑い不安を感じることはありませんか?
睡眠は私たちの心や体を健康に保つ大切なもの。
まずは「不眠症」や「過眠症」など、睡眠障害に関する正しい知識と情報を知ることから始めましょう。
◆睡眠障害の種類◆
「不眠」といっても、その症状は人によって様々です。
不眠を含む代表的な睡眠障害についてそれぞれの睡眠障害の概要や原因などをご紹介します。
→ 不眠症とは
→ 過眠症とは
→ 概日リズム睡眠障害とは
→ 睡眠呼吸障害とは
その他の睡眠障害として
→ むずむず脚症候群とは
→ 周期性四肢運動障害とは
→ 対処法として、睡眠の質を上げるには
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不眠症とは
・夜寝つきが悪い
・眠りを維持できない
・朝早く目が覚める
・眠りが浅く十分眠った感じがしない
などの症状が続き、よく眠れないため日中の眠気、注意力の散漫、疲れや種々の体調不良が起こる状態。日本においては約5人に1人が、このような不眠の症状で悩んでいるとされています。
不眠症は、小児期や青年期にはまれですが、20~30歳代に始まり加齢とともに増加し、中年、老年と急激に増加します。また、男性よりも女性に多いといわれています。
不眠症のタイプ
・入眠困難
床についてもなかなか(30分~1時間以上)眠りにつけない。
・中途覚醒
いったん眠りについても、翌朝起床するまでの間、夜中に何度も目が覚める。早朝覚醒希望する
時刻、あるいは通常の2時間以上前に目が覚め、その後眠れない。
・熟眠障害
眠りが浅く、睡眠時間のわりに熟睡した感じが得られない。
※これらの症状は同時に複数現れることがあります。
不眠症を引き起こす主な原因
・環境要因
時差がある場所、枕が変わる、また暑さや騒音、明るさなどの影響など
・身体要因
年齢、性差、頻尿、痛み、かゆみなど心の要因悩みやイライラ、極度の緊張からの精神的ストレス、
睡眠に対するこだわりなど
・生活習慣要因
アルコール、ニコチン、カフェインの摂取、薬の副作用、運動不足など
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過眠症とは
夜眠っているにもかかわらず、日中に強い眠気が生じ起きているのが困難になる状態。
過眠症の主なタイプ
・ナルコレプシー
世界的には1000人から2000人に1人にみられる病気で、10歳代で発症することが多い疾患です。
※症状
日中の耐え難い眠気と居眠りが繰り返し生じる。居眠りは長くても30分以内と短く、目覚めたあとは一時的にすっきりする。笑ったり怒ったりすると、突然体の力が入らなくなり、ひどいときにはへたり込んでしまう。寝入りばなに金縛りにあったり、現実と区別がつかないような夢を体験したりする。
・特発性過眠症発症
10~20歳代で、有病率はナルコレプシーよりやや少ないと推測されています。
※症状
昼間の眠気と居眠りを主症状とする。居眠りは、1時間以上続き、目覚め後はすっきりと覚醒でき
ずに眠気が持続し、リフレッシュ感が乏しい場合が多い。夜間睡眠が10時間以上と著しく長い
場合がある。
・反復性過眠症
非常にまれな疾患です。初発は、ほとんど10歳代で、女性よりも男性で頻度が高いとされています。
※症状
強い眠気を呈する時期(傾眠期)が3日から3週間持続し、自然に回復してまったく症状がなくなるが、その後、不定の間隔で傾眠期が繰り返し出現する。
過眠症の原因
・脳内の覚醒維持機能の異常
・何らかの原因で夜間の睡眠障害があるため
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概日リズム睡眠障害とは
昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わないため、1日の中で社会的に要求される、あるいは
自ら望む時間帯に睡眠をとることができず、活動に困難をきたすような睡眠障害。
概日リズム睡眠障害のタイプ
交代勤務による睡眠障害
・症状
夜間不眠、日中の眠気、作業能率の低下、倦怠感、食欲不振などの身体・精神症状が出現する。
※原因
常に勤務時間帯が変化(夜勤と日勤)することにより体内時計と勤務スケジュールが合わない。
睡眠相後退症候群
・症状
明け方近くまで寝つけず、いったん眠ると昼過ぎまで目が覚めないという状態に陥る。無理をして
起床すると、眠気や強い倦怠感などの症状がみられる。
※原因
体内時計が遅れているため、睡眠が遅い時間帯のほうにずれてしまう。
睡眠相前進症候群
・症状
夕方から眠くなり、起きていられなくなり早朝に目が覚めてしまう。
※原因
体内時計が進んでいるため、睡眠が早い時間帯のほうにずれてしまう。高齢者に多く、家族性に
発生することもある。
非24時間睡眠覚醒症候群
・症状
寝つく時間、起きる時間が毎日1~2時間ずつ遅れていく。
※原因
体内時計が朝の光によってリセットされない。若年者が長期の休暇等で昼夜逆転生活を送った後に引き続いて出現することがある。
不規則型睡眠覚醒パターン
・症状
睡眠と覚醒の出現が昼夜を問わず不規則になる病態である。夜間の不眠や、日中の眠気、昼寝の増加などがみられる。
※原因
脳梗塞患者など体内時計のリセット機構が弱くなった状態で、社会的接触の少ない環境におかれた場合に生じやすい。身体疾患のため臥床生活を余儀なくされた場合等。
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睡眠呼吸障害とは
睡眠中に異常な呼吸を示す病態の総称
有病率は一般人口の1%以上で、特に中年期に多く30~60歳の男性で4%、女性では2%前後と言われています。
代表的な疾患は睡眠時無呼吸症候群であり、夜間睡眠中に何度も呼吸が止まります。
その診断基準としては1時間あたり5回以上の無呼吸もしくは低呼吸(呼吸量が正常呼吸の2分の1以下になるもの)が存在することが挙げられています。
睡眠時無呼吸症候群の95%は閉塞性睡眠時無呼吸症候群が占めており、高血圧、虚血性心疾患、脳梗塞の発症要因になることがわかっています。
睡眠時無呼吸症候群の症状
主症状としては、日中の眠気、大きなイビキ、睡眠時の窒息感やあえぎ呼吸、夜間の頻尿、覚醒時の倦怠感、頭痛などが挙げられます。
※本人が自覚していることが少ないので、ご家族や周りの方の注意が必要となります。
睡眠時無呼吸症候群の原因
上気道(空気の通り道)が閉塞することにより起こります。
閉塞の原因:肥満、脂肪が多く短い首、舌が大きい、あごが小さいなど
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その他の睡眠障害
むずむず脚症候群とは
眠ろうと床に就くと、足に、むずむず感・何ともいえない不快感・虫がはう感じなど異常な感覚があり、じっとしているのがつらく入眠できません。
これらの症状は、体を動かすことにより多少改善しますが、安静にしていると再び発現します。
※不調が続くようなら、あなたの症状を医師に相談することをお勧めします。
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周期性四肢運動障害とは
夜間睡眠中に、足や手がぴくついて何度も目が覚め深く眠れない。
これらの症状は自分の意思とは関係なく、足や手に繰り返し現れます。
※不調が続くようなら、あなたの症状を医師に相談することをお勧めします。
身体疾患や精神疾患に合併した不眠
以下のような身体疾患や精神疾患では、不眠症状が出現することが多くあります。
1. 頭痛、発熱、腰痛、関節痛、神経痛など
2. 痒み:アトピー性皮膚炎、老人性皮膚疾患など
3. 感染症
4. 循環器疾患:心不全、高血圧など
5. 血管性障害:脳血管障害など
6. 消化器疾患:腹痛、下痢、悪心・嘔吐など
7. 逆流性食道炎、消化性潰瘍など
8. 内分泌および代謝障害:肝・腎不全、糖尿病など
9. 頻尿:前立腺肥大など
10. 呼吸器疾患:肺炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息など
11. 神経症、うつ病、統合失調症など
※不調が続くようなら、あなたの症状を医師に相談することをお勧めします。
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良い睡眠をとるための4つの基本
①朝日を浴びる
②昼間光を浴びて活動する
③夜は暗い所で過ごす
④規則的な食事をとる
◆朝の光と夜の暗さ
朝は太陽の光を浴びよう 夜はパソコンや携帯電話を見ないようにしよう!
1日が24時間であるのに対して、ヒトの体内時計は、約25時間でリズム(生体リズム)を刻みます。
このズレを修正する重要な同調因子が「光」です。
快眠のためには、朝はカーテンを開け放し部屋に朝日を入れましょう。生活リズムのズレを修正する第1歩です。また、夜は就寝前には明るさを抑えましょう。
※パソコンや携帯電話は寝る前には使わないようにしましょう。
◆規則正しい食事
規則正しい食事は、生体リズムを整える大切な要素です。
朝食は朝寝坊したときに食べなかったり、時間がなくコーヒーだけですませたりしがちですが、
できる限りしっかり3食を同じリズムで、摂るように心がけてください
◆睡眠時間の確保
まずは2~3週間、8.5時間の睡眠時間を確保してみることが必要です。
※2~3日の短期間では判断できません。
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