シニア産業カウンセラーの藤井です。
朝晩、肌寒さを感じますね。皆さん体調はいかがでしょうか。
最近、庭に出ると金木犀の優しい香りが漂っています。この香りをかぐと、
「今年もあとわずかだなぁ」としみじみ思います。
実は、金木犀(キンモクセイ)の香りには様々な効果、効能があります。中でも
心を落ち着かせる効果がありイライラが軽減されるといわれます。
金木犀を見つけたら、香りを楽しんでリラックスしてみてはいかがでしょう。
最近、怒りの抑え方を教えてほしい、感情のコントロール法を教えてほしいという声が多かったので
今月のテーマは、アンガーマネジメント(怒りのコントロール)についてお話しします。
最近で一番怒りを覚えたのはどんなことでしたか?
それはどのようにして解決しましたか?
怒りについて考える前に、感情について考えてみましょう。
では、クイズです。
次の感情で一番長く続くものはどれでしょう?
①悲しみ
②怒り
③恐れ
④楽しみ(喜び)
⑤嫌気(嫌悪)
参照 悲しみの感情は他の感情に比べ240倍も長く続くことが判明(ベルギー研究)
今月のテーマである「怒り」の持続時間は2時間です。
ひどく相手を怒らせたとき、また、自分が烈火のごとく腹が立った時は2時間後に話し合ったほうが解決しやすいといえます。腹が立ってもその場で激しく言い返してしまうと冷静な判断ではなく、ただ感情のぶつかり合いになってしまうということになりますね。
~怒りの感情を上手に処理する~「怒り」をコントロールする技(テクニック)
「怒り」はストレスの原因になりやすい感情です。
職場の大きなストレスとして人間関係がよく挙げられますが、怒りはそれ自体がストレスとなるだけでなく、人間関係を悪化させ、さらなるストレスを生むおそれがあります。
そのため、怒りの感情をコントロールする技術である「アンガーマネジメント」を
研修・導入する職場もあるようです。
ここでは大脳のメカニズムから、怒りの感情をコントロールするヒントを紹介します。
怒りとコントロールのメカニズム
怒りがコントロールしにくい理由は、私たちの本能に関係しているためです。怒りの爆発的な感情は、交感神経系を活性化して全身を瞬時に興奮状態にし、戦いや逃避に役立ちます。
怒りの感情が生じているときは、大脳では感情や本能を司る「辺縁系」という部分が活性化しています。この部位は動物に共通する原始的な脳といわれています。
ブレーキにあたる感情をコントロールする部位は理性を司る「前頭葉」で、サルや人間などで発達した新しい脳の部分です。つまり怒りのような反応は生存に関わる、動物に共通するもので、それをコントロールできるのは人間のように高度に発達した脳をもつ動物に限られるといえます。
この脳の部位の違いが、怒りのコントロールに関係します。
辺縁系で怒りがわいてから、それを抑えるために前頭葉が活性化するまで3~5秒の時間のズレがあるためです。つまり、怒りのコントロールは、この時間の差をどう埋めるか、またいかに辺縁系の働きを抑えて前頭葉の働きを強くするかがポイントになります。
怒りの感情はずっと続くものではなく、短時間で変えられる可能性があることを知っておいてください。
とはいえ、怒りは早めにおさめたいものですよね。
「怒りのコントロール」おすすめのセルフケアをご紹介します
①前頭葉が活性化するまで時間を稼ぐ
第3代米国大統領のトーマス・ジェファーソンは「腹が立ったら10まで数えよ。うんと腹が立ったら100まで数えよ」といっています。アンガーマネジメントでも怒りを感じたら「6秒」がまんすることを推奨しています。
数を数えたり、周囲の風景などに意識を集中するなどして、怒りの感情を発散するのを6秒間抑えることができれば、前頭葉が活性化して怒りがコントロールしやすくなります。
②怒りから意識をずらす
前頭葉が活性化するまでの間、怒りから意識をずらすために、別の大きな刺激を自分に与えましょう。例えば足や腕をつねって痛みを与えたり、頭のなかで「ストップ!」と叫んだり、手を思いきり握り続けてみるなど、自分に合った方法を、できれば人に気づかれないように行ってみましょう。
相手が目の前にいない場面であれば、水を飲みに行ったり、深呼吸をするなども効果的です。
③怒りの間は言葉に注意する
会話など相手がいるときに怒りがわいたときは、前頭葉が働くまでは言葉に注意しましょう。怒りの感情が言葉や声のトーン、表情などに反映するため、それが相手の怒りを誘発・増大させ、そのようなやり取りから、最初は小さな怒りの火が、大きな炎となり収拾がつかなくなるおそれがあります。
そのようなときは相手の言葉を、「そうですね」「なるほど」など否定的にならない無難な言葉で受け、呼吸が荒くならないように意識しながら、ゆっくりしゃべるようにしましょう。
④相手の立場になって考えてみる
腹が立つ相手の言動も、相手の身になって考えてみると、「まあしかたがないかな」と思える場合が少なくありません。そのように客観的に見るクセがつくと、怒っている自分の姿が周囲にどう見られているかなどにも思いがいくようになり、すぐにカッと
ならなくなります。
日頃から怒りに対する耐性をつくる
楽しいことや生きがいがあったり、家族やプライベートの人間関係が
充実していたり、ペットとのふれあいなど心が安らぐ時間があると、
怒りがわきにくくなります。
これはストレスがたまりにくいこともありますが、そのような場面のときに
セロトニンなどの心をおだやかにするホルモンが分泌されることで、
怒りにくくなると考えられています。
逆にすぐに腹が立つようなときは、体調や生活を振り返り、問題点に
気づくことが解決につながります。